たんぽぽニュース

2012-01-30 11:49:00

■“家のために死ぬ”など本末転倒

 思うように転職できない、鬱病で失業したなどの理由で住宅ローンの返済が難しくなることがある。妻がパートに出るなどして乗り切る人もいるが、カードローンや消費者金融に頼って不足分を埋めようとする人も少なくない。
 ほかから借りてまで住宅ローンを返すのは、厳しい取り立てにあう、家を失うなど、遅滞したら大変と考えるためである。

 しかし住宅ローンの延滞はそれほど恐れることではなく、状況によっていくつもの対応策がある。
 元の状態に戻れる可能性が高いなら、借り換えを検討するといい。高い金利で借りているローンを別の銀行の低金利のローンに借り換えれば、金利負担が軽減できる。
 十分に金利が低いなど、効果的な借り換えが困難なら、借入先に返済の一時猶予について相談する。一定期間、返済額を減らし、減らした分をあとで上乗せするなどの方法があり、「返済が苦しい。再就職するまでの間、負担を減らす方法はないか」と謙虚に切り出すことで、いろいろな提案が引き出せる可能性がある。

 鬱病を患った、無職の状態が長い、収入が激減したなど、これから先も元のようには返済できそうもないというケースもあるだろう。売却も視野に入れるべきだが、売却したくなければ、返済期間を延長して毎月の返済額を減らせないか、銀行に相談しよう。
 住宅ローン以外にも借り入れがあるなら、個人再生手続を使って住宅ローン以外の債務を減らし、全体としての負担を減らす手もある。ローンが3000万円残っている家の価値が500万円等々、価格の下落によって残債額と資産価値に乖離があるケースも少なくない。こんな場合は、大幅に価値が下がった家のために返済を続けるより、売却を考えるのが賢明だ。

 無論、売ってもローンは返しきれず、銀行から返済を求められるが、これも交渉が可能。この債務は銀行からみれば無担保の不良債権であり、銀行は二束三文でサービサー(法務大臣が認可した債権回収会社)に債権譲渡することが多い。法律的にはサービサーに支払っていく義務があるが、お金がないから負けてください、という交渉をする。十分に効果が期待できる交渉であり、2500万円の債務を30万円で片付けた例もある。

 ただし、住宅金融支援機構などの公的金融機関には債権譲渡、債務免除の考え方がなく、何十年かけてもいいから返済せよといってくる。この場合は個人再生手続などで解決をめざす。自己破産をすれば家を失うことになり、住む家がなくなるという人がいるが、必ずしもそうとは限らない。低家賃の家もあるし、資産を手放せば生活保護も受けられる。持ち家を失ってホームレスになった人、食えなくなった人を私は知らない。

 つい先日も、住宅ローンの返済を苦に自殺した50代の方のご遺族が相談にみえた。銀行の住宅ローンには死亡時にローン残額分の保険金がおりる団体信用生命保険が付いており、その方も保険で片付けるしかないと思い詰めたという。自殺で保険金がおりる団体信用生命保険の仕組みは疑問だ。家は暮らしの道具にすぎず、家のために死ぬなど本末転倒である。
 大切なのは貨幣で表せる「資産」ではなく、命、家族、友人、健康など、金に代えられない「財産」だ。家に振り回されると、本当に大事なものを失いかねない。

 住宅ローンの返済の遅れを恐れる必要はない。延滞してもしばらくは電話と督促状がくるだけで、競売にかけられるまでには少なくとも半年かかる。銀行にとっては、費用も手間もかかる競売より、少しずつでも返済してもらったり、任意売却するほうがいいので、相談には積極的に応じてくれる。
 ほかにも方法はあり、ネットでも簡単に情報収集ができる。借入先、法律家、不動産業者など、相談先もたくさんある。情報を入手せず、一人で悩むと極端な選択をしてしまいがちなので、そうなる前に大まかな知識を持ち、もしものときには家族に助けを求めよう。選択肢はいくらでもあるということをぜひ覚えておいてほしい。


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事業再生コンサルタント
吉田猫次郎
1968年生まれ。旧財閥系商社勤務を経て98年退職、倒産寸前の家業を再建。著書・講演多数。

高橋晴美=構成





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